不動産問題の弁護士 茨城県水戸市の中城法律事務所

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目次

土地の価格について

土地の価格には、次の4つがあります。

  1. 実勢価格
  2. 固定資産税評価額
  3. (相続性)路線価
  4. 公示価格

1 の価格を100%とすると、2 は70%、3 は80%、4 は90%の 水準になります。このような違いが生じるのは、価格を算定する目的がそれぞれに異なるからです。

2 は、固定資産税の納税目的で定められたもので、比較的に低い評価額 にして納税を促すようにしています。3 も納税目的で定めたものですが、相続というまれなケースの問題なので、2 よりやや高く設定されています。4 は、地価公示法に基づいて定点観測され、土地取引の指標とされるのを目的にしていますので、実勢価格に近い価格となっています。

以上のとおり、土地の価格は、その算定目的に応じて異なります。

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土地・建物に関連する法律

不動産(土地・建物)の活用方法には、「売買」、「賃貸」、「建築」、「土地開発」など様々なものがあります。それぞれのルールを定める法律も数多くありますが、代表的なものは次のとおりです。

まず、売買や賃貸など取引の基本的なルールを定めているのが「民法」です。

そして、土地・建物の貸し借りに関しては「借地借家法」が、建物の建築には「建築基準法」「都市計画法」が、土地が農地である場合には「農地法」が、それぞれ適用されます。これらは、民法を前提にした特別法という位置づけになります。また、登記に関しては「不動産登記法」が、土地・建物の取引ルールの特別法として「宅地建物取引業法」が、不動産を相続する場面では「相続税法」が、細かいルールを定めています。

その他にも、特別な場面では、特別のルールが適用されていますので、土地・建物に関連する法律は多種多様です。

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建物と認められる条件

「建物」と認められるには、法律上いくつか定義があって、一義的に明白とはいえません。

例えば、建築基準法では、「土地に定着して、屋根と、柱または壁のどちらかがあるもの」(同法2条)が建物とされています。また、不動産登記法では、「屋根と壁など外と隔てるものがあり、土地に定着し、用途があるもの」とされています。その他、税法などでも「建物」の定義がありますが、建物は、①「屋根」、②「柱か壁」、③「土地に定着」、の3つが主だった条件といえるでしょう。

具体的にみると、門や塀は建物(あるいはその一部)ですが、生け垣などは建物ではありません。また、車庫や物置は建物ですが、犬小屋は土地に定着していないので、建物ではありません。

建物と判断されれば、建築基準法の規定を守る必要が生じますし、固定資産税の対象にもなります。建物かどうかで重要な違いが生じることになるのです。

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不動産の登記について

不動産の登記は法務局で閲覧可能です。誰でも手数料を支払えば閲覧できます。

不動産の登記内容は大まかには次のとおりです。

  1. 場所・大きさ・種目など(表題部)
  2. 所有者が誰なのか・いつから所有したのか(甲区)
  3. 所有権以外の権利について(乙区)

は、抵当権など所有権以外の権利が設定されている場合の登記です

法務局にはその他にも、周辺の土地との関係や並びがわかる地図(公図)、土地の形や大きさを詳細に測量した図面(地積測量図)、建物の各階ごとの図面(各階平面図)などが、保管されています。

不動産のことで知りたいことがある場合には、まずは法務局で登記を調べるというのが重要となります。

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地図や図面について

不動産(土地・建物)を調査するにあたって、地図や図面は重要です。ここでは、主に法務局で扱っている地図等について説明します。

住宅地図は、一般に発売されており、図書館にも置いてあります。住宅地図により住居表示や建物名がわかるようになっています。法務局に置いてあるものは、地番が青い字で表示されており、ブルーマップと呼ばれています。

公図は、土地の位置や境界、隣接地を確認するための地図です。法務局に置かれていますが、コンピュータ化により、インターネットでも取得できます。

地積測量図は、その土地の詳細な測量の図面です。土地家屋調査士が作成したもので精度が高いものですが、すべての土地で地積測量図があるとは限りません。

建物図面は、建物の配置や各階の形がわかる図面です。すべての建物で整備さえているとは限らず、増改築等があると実際とは異なる場合もあります。なお、各階ごとの図面は各階平面図で建物図面とは別のものです。

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不動産競売とは何か

競売とは、「債務者が債権者に対し債務の履行をしない場合、債権者の申し立てによって、裁判所が不動産を差し押さえて売却し、その代金を債権者に分配する手続き」のことです。年間で5万件前後もの不動産競売が行われています。

不動産競売では、裁判所が売却の手続きを進めます。その手続きには、誰でも買い手として参加することができ、入札という公正な手段で買主が決定されます。

不動産競売は、割安で不動産を購入できるというメリットがありますが、通常の不動産取引に比べて自己責任が多く課されますので、知識や経験が必要になります。

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競売の3点セットとは何か

不動産競売では、不動産に関する基本的な情報を提供し、競売手続きを適正に進めるため、1. 現況調査報告書2. 評価書3. 物件明細書の3つの書類を作成しています。これを「3点セット」と呼んでいます。

  1. 現況調査報告書は、執行官が作成します。現況調査報告書には、土地・建物の概況、地積や床面積などの状況、不動産の占有状況など、が記載されます。
  2. 評価書は、裁判所が選任した評価人が作成します。評価書は、裁判所が売却基準価格、買受可能額を決めるための資料になります。通常は、不動産鑑定士が、不動産の価値を評価します。
  3. 物件明細書は、裁判所書記官が作成します。裁判所が競売に関する手続きを進めるにあたって、権利関係等の重要な基礎資料となります。

3点セットは、入札期間中は裁判所に備え置かれて誰でも自由に閲覧できます。また、インターネットで全国どこからでも見ることができます。

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不動産競売の流れ

不動産競売にはだれでも参加できます。その手順は民事執行法に規定されており、裁判所、執行官、裁判所書記官が、「売却の方法」「入札期間」「開札期日」「売却基準価格」「保証金の額」などを決定・実施し、手続きが進められます。その内容は、裁判所の掲示場で公告されます。案件によっては、インターネットでも公示されます。

また、競売に関する情報は、「不動産競売物件情報サイト」によって、インターネットで見ることができます。特に、重要な情報である競売の3点セット(<競売の3点セットとは何か>参照)は裁判所に備え置かれる他、同サイトで見ることができます。

競売のスケジュールは、公告から3点セットの備え置きまで1週間以上、そこから入札開始までに1週間以上、入札期間が1週間から1カ月あります。開札は入札終了から1週間以内に行われ、さらに1週間以内に売却が決定される、という流れになっています。

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土地の境界について

一般に、土地の「境界」は、一義的に決まっているわけではなく、多様な意味を持ちます。例として、「筆界」、「所有権界」、「占有界」があります。

「筆界」は、多くの場合に、土地の「境界」と同義で使われます。

「筆界」とは、(土地登記簿上の)表題登記がある一筆の土地と、これに隣接する他の土地との境界線をいいます。原始境界とも呼ばれます。

「所有権界」とは、所有権の境界のことで、当該土地の所有者の所有権の及ぶ範囲の境のことを指します。また、「占有界」とは、当該土地の占有者が現実に占有している範囲の境を指します。

多義的な「境界」が互いに一致しているのが望ましいですが、実際には現地において一致しないことも少なくありません。例えば、現に占有している範囲の境が所有権の及ぶ範囲の境と異なり、あるいは、所有権の及ぶ範囲の境が筆界とは異なることもあります。このような場合、境界をめぐる紛争となり、法的解決が求められることになります。

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土地の境界と建物の建築について

建物を築造するには、境界から50センチメートル以上の距離を保たねばなりません(民法234条1項)。つまり、自分の土地だからといって、境界線ギリギリに建物を建てるのは民法上許されないのです。通風、日照等の確保と、防火対策等のため、土地の境界線付近の建築は制限されているのです。

もっとも、行政法規である建築基準法では、その65条で、一定の条件を充たす場合には、境界線に接して建築物を設けることができるとしています。外壁が耐火構造であるなど一定の条件を充たす場合に、民法の例外を認めるものです。

建築基準法65条の規定は、民法234条1項の規定に対する特則を定めたものと解されており、条件さえ充たせば、境界線に接して建築物を建てることができることになります。

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囲繞地通行権について

他人の土地を通らないと公道に出られない土地(袋地)の所有者には、その周りの土地(囲繞地)を通る権利が認められます(囲繞地通行権)。

また、公道に接している土地でも、接している面と公道との間に著しい高低差がある場合(例えば、崖のような場合)にも、囲繞地通行権が認められます。

囲繞地通行権が認められるのは近隣地間での利用の調整のためです。したがって、通行権を認めるかどうか、あるいはどの範囲で認めるかは、土地の状況や利用目的などを含めた総合的な判断によります。

裁判では、土地の客観的な利用状況によって囲繞地通行権を認めるかどうかの判断がなされるのが一般です。なかには、日常生活に支障があるかどうかを基準にしている裁判例もあります。

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囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)と通路

前回の「囲繞地通行権について」で説明したように、袋地の所有者には、囲繞地(いにょうち)を通行する権利が民法上認められています。

では、袋地の所有者は囲繞地を通行するにあたって、通路を開設することはできるでしょうか。

囲繞地通行権は近隣地間の利用を適切に調整するものですから、囲繞地通行権は、囲繞地所有者に対し、最も迷惑のかからない場所や方法をとる必要があります。

もっとも、囲繞地通行権は、土地利用上の適切な調整として、必要かつ相当な範囲で袋地所有者が囲繞地所有者の土地を利用する権利です。したがって、通行に必要であり、日常生活上ないし社会通念上相当であるなら、袋地所有者は、通路を開設し、通りやすいように整地をすることも認められています。

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