茨城県水戸市の弁護士 中城法律事務所(県内全域対応)

電話 029-306-9251

平日 10:00~17:30

(12:00~13:00昼休)

コラム(2015年分)

ここでは、日々の出来事やこれまでの体験をスクラップのように雑感的に記しながら、仕事を離れちょっと一息入れる感じで断片的な自己紹介をしていきます。

遺骨の取り合い

2015年12月25日

人が亡くなり火葬されたら、遺骨が残ります。この遺骨を、遺族がそれぞれ2か所以上に分けて納めるのが分骨です。遺族の間に争いがなくスムーズに話が進めば、適正な手続きを踏むかぎり、分骨に法律上問題はありません。

ところが、遺族の間にいがみあいや争いがあって、それぞれ遺族が自分のところで故人の遺骨を納めたいと主張して譲らない場合、この遺骨の取り合いを、法的にどう解決すべきでしょうか。

民法897条は、祭祀(さいし)財産について、祭祀を主宰する者が承継するとしていす。祭祀財産とは、祭具やお墓のことです。祭具のなかには、遺骨や遺体が含まれると裁判所が判断しています。したがって、祭祀を主宰すべき者(祭祀主宰者)が遺骨を納めることになります。

そこで、祭祀主宰者はどうやって決めるのか、が問題です。

まず、亡くなった人(被相続人)が遺言などで祭祀主宰者を指定していれば、それに従います。指定がない場合、慣習に従うことになっています。しかし、その慣習が明らかでない場合が多いわけです。その場合は、最後の手段として、家庭裁判所が定めることとなっています。

もっとも、最終的に裁判所が定めたとしても、このような人の心に関わる問題では遺族間に禍根を残すことが多いことでしょう。とても難しく簡単にわりきれない問題です。

さて、今年も残すところあとわずかとなりました。何かと慌ただしい年の瀬ですが、お身体に気をつけてどうぞ良いお年をお迎えください。

ページトップに戻る

香典と相続

2015年11月30日

人が亡くなれば、葬儀が開かれ、その際、死者の霊前に金品が供えられます。この金品を一般に香典といっています。

ところで、人が亡くなれば、相続が発生し、その人の財産(遺産)は相続人に承継されます(祭祀用財産など特別の例外があります)。では、香典は、相続との関係でどのように扱われるのでしょうか。

相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続人が承継する法的現象であり法律関係です。そして、そこにいう財産とは、亡くなった人が亡くなった時に保有していた財産に限ります。したがって、香典は、亡くなった後の財産ですし、亡くなった人のものでもありませんから、相続の対象財産にはなりません。

香典は、喪主に対して葬儀の参列者から送られた贈与であると法律上解釈されています。したがって、香典は、喪主が、葬儀費用に充てるなど、香典の趣旨に沿う範囲で自由に使えることになります。また、遺産ではありませんから、喪主(相続人の場合)は他の相続人と遺産分け(遺産分割)する必要はありませんし、原則香典には贈与税もかかりません(非課税扱いです)。

ページトップに戻る

断捨離も、ほどほどに

2015年10月28日

近頃というか、だいぶ前から、断捨離がブームです。

一般的に断捨離とは、不要なものを断ち、それを捨てて、執着しないこと、を意味するようです。それは良いことであり、何ら問題はなさそうです。

しかし、これも行き過ぎると、多少の問題があります。相続という法律問題との関連でいえば、以下のような問題が起きるかもしれません。

まず、娘あるいは息子が、親の書いた自筆証書遺言を、それと知らず間違って捨ててしまうことが考えられます。その存在を知らされていない場合、起こりうることです。この場合、せっかく親が書いた遺言は、知られずじまいに終わってしまい、無用な紛争を招くこともあり得ます(遺言が公正証書遺言でしたら、公証役場に原本が保管されるので別です。)。

また、仮に遺言は捨てなかったとしても、その遺言が親の自筆かどうか争われたような場合(よくあります)、筆跡を照らし合わせる手紙などが捨てられていて、その照合ができないことがあり得ます。この場合、いらないと決めつけて捨てた(親の自筆による)昔の手紙などが、実は紛争解決の糸口になっていたかもしれません。

さらに、親が亡くなり、(その子である)兄弟姉妹で遺産処理を決めた後にも、問題が生じることがあります。例えば、親の不動産を相続した兄弟が、それを売却し、お金を分ける形で遺産の分割を済ませることがあります。売却後、新たな権利証が発行されたのなら、親が持っていた昔の権利証を捨てることは大丈夫でしょう。しかし、この時、一緒に親が不動産を購入した時の契約書や領収書を捨ててしまうと問題があります。不動産を売却すれば譲渡所得税という税金の問題が生じますが、親が不動産を買った時の契約書や領収書があれば、それで取得価格が分かり、譲渡所得税がかからないこともあります。ところが、これを捨ててしまった場合、買った値段が分からず(取得価格が判明せず)、払わなくてもよい譲渡所得税を払わなければならない、なんてことにもなりかねません。

以上、相続という法律上の問題から、断捨離が行き過ぎた場合の問題を考えてみましたが、要するに、何をするにもほどほどが良い、という教訓につながるのかもしれません。世の中、すべていいことだらけのことなんて、なかなかありませんからね。

ページトップに戻る

ラグビーワールドカップ

2015年09月30日

ラグビーワールドカップがイングランドで開催されています。

ラグビーワールドカップとは、4年に一度開催されるラグビーの世界選手権のことです。

日本だと、ラグビーというスポーツは必ずしもメジャーとはいえないですし、マスコミの露出度もそれほど多くはありません。その理由の一つには、ラグビーのルールが分かりづらいということがあるのかもしれません。

ただ、このラグビーが今、にわかに、注目を集めつつあります。一つは、2019年に日本で初めてラグビーワールドカップが開催されるのが決まったことと、もう一つは、現在行われているワールドカップで、日本チームが強豪の南アフリカに劇的な逆転勝利をしたこと、によります。

ちなみに、チーム編成は必ずしも日本国籍者に限らず、住所を一定期間日本に置いている選手なども含まれ、この点、ラグビーワールドカップが他のスポーツの世界大会と違うところで、際立った特徴です。ですから、日本チームにも多くの外国籍選手がいて、中心選手として活躍しています。

これをきっかけに、ラグビー人気が定着し、2019年のワールドカップ日本開催が成功すると良いのですが、さて、どうなることでしょうか。

ページトップに戻る

必勝うちわ・その2

2015年08月28日

昨夏に続き、この夏もまた、「必勝うちわ」が私のもとにやってきました。簡単に説明しますと、必勝うちわとは、母校の野球応援用に作られたもので、しかも今夏の大会応援用です。表面には年度まで記載されています。いわば今年だけ使用できる限定品なのです。試合ごとに、母校応援のため使用され、その目的を全うするというものです。ですから、母校が試合に勝てば勝つほど、それだけ本来の目的をよりよく果たすということになるわけです。

さて、かような使命を持った必勝うちわですが、残念ながら母校が2回戦で敗退したことから、2回しか使用機会がなく(出番がなく)、いくぶん消化不良に終わってしまいました。うちわも私も無念です(泣)。

ところで、今夏の猛暑は相当なものでした。そこで、本来、うちわが活躍するはずですが、必勝うちわは、ただのうちわではありません。単に涼を与えるための手段ではないのです。その活躍の場(主戦場?)は、野球場以外にありません。ですから、今年の必勝うちわ、7月中旬くらいには早くもその役割を終え、その後の暑い盛りに活躍することもなく、昨年の必勝うちわとともに、仲良く並んで来年の必勝うちわを待っています。さながら、討ち果てた同志の戦友みたいに、です。

来年こそ、「必勝うちわ」が本望を遂げるのを祈るばかりです。

ページトップに戻る

100年目の夏の甲子園

2015年07月30日

激しい暑さとともに真夏の太陽が照りだしたら、なんといっても夏の甲子園を思い浮かべます、私は。

その夏の甲子園大会(正確には全国高等学校野球選手権大会)は今年で、100周年を迎えるようです。先の大戦(太平洋戦争)をまたいだ関係で、大会の回数は今回で97回目となります。

過去の大会を調べてみると、興味深いことが色々と分かってきます。ここではそのうちのいくつかを紹介しましょう。

まず、意外と知られていないのが、第1回大会の会場が甲子園球場ではなかったということでしょう。夏の甲子園といわれる通り、開催は甲子園球場なのがあたりまえと思いがちですが、最初の第1回大会は、大阪市の豊中グラウンドで開催されたそうです。甲子園球場が使用されたのは、第10回の大会からです。その他にも、今では当たり前になっている金属バットの使用は、1974年(第56回大会)から開始され、延長戦が15回までとなったのは、2000年(第82回)からで、意外に最近のことです。それと、1990年ごろまでは、外野にラッキーゾーンというフェンスで囲まれた特別なゾーンが存在していて、そのフェンスを越えるとホームランになるというローカルルールがありました。

100年もの歴史があれば、当然それ相応のエピソードがあるでしょうし、その中でいろいろと変更することもあったでしょう。ただ、球児のプレーやその熱意は、いまだに懐かしい素朴さで充ちていて、郷愁を感じないではいられません。

ページトップに戻る

遺留分とは何?

2015年06月29日

例えば、ある親子がいて、既に父親は死亡し母親と二人の子供が残され、母親は二人の子供のうち一人と大変仲が悪いという事例があるとします。この場合、母親が、(自分が亡くなった場合を念頭に置き)その仲の悪い子供に自分の遺産を一切与えたくないと考えるなら、遺言でもう片方の子に遺産の全てを相続させることが考えられます。しかし、この遺言があるからといって、嫌われた子が全く遺産を受け取れないわけではないのです。なぜなら、その子には遺留分が4分の1あるので、もう片方の子から4分の1の限度で遺産を取り戻すことができるのです(遺留分の割合は、相続人がだれか、何人いるかで変動します。)。このように、一定範囲の相続人に最低限の相続分を保証しようというのが遺留分という権利です。ところで、この仲の悪い相手が、自分の子供ではなく、兄弟のうちの一人だったらどうでしょうか。(相続人として、配偶者、子、親のいずれもいない場合で)兄弟姉妹だけが相続人となる場合、兄弟姉妹に法律上遺留分は認められていません。したがって、仲の良い兄弟の方にだけ遺産を全て与えるという遺言さえすれば、仲の悪い兄弟の方は全く遺産をもらえなくなります。子供と兄弟姉妹とでは、最低限の遺産を保証する必要性が(質的に)違うと法は考えているのでしょう。これが現代日本法(民法)の立法政策における価値判断です。

 ともあれ、この遺留分の制度は、他の兄弟姉妹とはむやみに仲違いしない方がよいという、ちょっとした教訓を与えてくれています。

ページトップに戻る

飛行機内で生まれた子の国籍

2015年05月24日

国際線の飛行機内で子が生まれた場合、その子の国籍はどうなるのでしょうか?

先日5月10日、エア・カナダの飛行機内でカナダ人女性が産気づきそのまま機内で出産、飛行機は成田空港に緊急着陸するという出来事があったそうです。

国籍に関する法律は各国様々で、大雑把には、「(出)生地主義」と「血統主義」に分けられます。前者が生まれた国(出生した場所・国)の国籍を取得するという考え方であるのに対し、後者は親の血統(国籍)に従い親と同じ国籍を取得するという考え方です。

カナダは基本「生地主義」を採用し、一方日本は基本「血統主義」を採用しています。もう一つ本件で重要なのは、「無国籍の削減に関する条約」という条約で、自国の飛行機内で生まれた子については、公海や公空内であれ、他国の領海や領空であれ、常に自国の領域内で生まれたものとみなす、としています。カナダはこの条約に批准しているので、カナダ人女性の産んだ子は(エア・カナダはカナダの飛行機なので)自国つまりカナダ領域内で生まれたことになり、生地主義からカナダ国籍を取得します。一方日本はこの条約に批准しておらず、血統主義を採用しているので、この子は(父母ともカナダ人なので)、その血統から日本国籍を取得することはありません。

国籍についてはこの他にも二重国籍の問題など、人がグローバルに動く現代にあって、複雑な問題がますます多くなっています。

ページトップに戻る

「デフォルト」って何?

2015年04月25日

もともと英語で「何もしない」とか「成すべきことが成されない」という意味のようです。

ただ、最近よく聞くデフォルトという言葉は、ギリシャの財政危機に関して使われたりするので、この場合は「債務不履行」という意味になります。

ではなぜ、ギリシャがこのデフォルトに関わってくるのでしょうか?

債務不履行とは、ギリシャのような国の場合ですと、国債(国の借金)の債務不履行、つまり、利息を含め国の借金が返せないような財政状態にあることを意味します。どうしてギリシャが財政危機に陥っているのか調べてみると、ギリシャという国の不思議なところがわかります。なんと、人口の10%つまり10人に1人が公務員で、労働人口で考えると10人に3人くらいが公務員なんだそうです。しかもその待遇が手厚く財政を圧迫しているようです。他にも理由があるようですが、家族に一人は公務員がいるような国ってどうなんでしょうか・・・・・・。

ギリシャがデフォルトになった場合どうなるのか?

ギリシャという国が借金しているということは、だれかがギリシャという国にお金を貸しているということです。ギリシャ国債を多く保有している(つまり、ギリシャにお金を貸している)のはドイツやフランスのようです。ドイツやフランスでしたら、連鎖的にデフォルト(債務不履行)には陥らないでしょう。しかし、スペインやポルトガルといった国までギリシャ国債を保有しているらしいのです。これらの国の財政基盤は弱く連鎖的に財政破たんする危険も皆無ではないようです。そういうわけで、「デフォルト」は世界経済にとって当面の大問題になっています。

ページトップに戻る

センバツと21世紀枠

2015年03月27日

センバツとは、春の甲子園大会のことで、正式には選抜高等学校野球大会といいます。今年で87回目となるようです。夏の甲子園大会(選手権)と並んで高校野球の2大大会になります。毎年今くらいに開催されるので、春の風物詩的イベントでもあります。

21世紀枠とは、センバツに出場するチームのうち一部を、部員不足のハンデを克服したとか、他の学校の模範(進学校等)になっているとか、実力以外の別の基準で出場校を選ぶ例外的な出場枠のことです(実力も加味されますが)。

しかし、このようないわば特別枠を作る必要があるのか疑問があります。

センバツも野球というスポーツ競技の大会ですから、実力で勝敗を競い優勝を決めるわけです。だとすれば、その出場校もまた野球の実力のみを基準に選ぶのが公平です。そこに、他の高校の模範になる、などというような曖昧でよくわからない基準を持ち込むべきとは思えません。ある意味、勝ったあるいは優勝した高校こそが高校野球の模範なはずですから、矛盾さえしています。

もっとも、理屈や建前は以上のとおりなんですが、21世紀枠で選出された高校が実力のみで勝ち上がった高校を破るなんてことはよくあります。こういう番狂わせが高校野球の醍醐味であり面白いところともいえるので、「21世紀枠断固反対」とまではなかなか言いづらく、ちょっと困るわけです。

ページトップに戻る

競馬と税金

2015年02月23日

馬券を買い予想が的中して払い戻しを受けた場合、税金はかかるでしょうか。

レースで一儲けした競馬ファンが、その儲けに対して税金を払ったなんて話は聞いたことがありません。しかし、実のところ税金がかかる可能性があります。払戻金は一時所得として扱われます。ですからその当たり馬券にかけた費用(経費)と一定の控除額(50万円)を差し引いてなおプラスがでた場合、その2分の1が課税の対象になるのです。年間を通してみて上記経費と控除額を上回る儲けを出している場合、理論上は所得税を払う可能性があります。

ところで、外れ馬券の購入費が税金算定上の「経費」として認められるかどうか争われている裁判の最高裁判決が来月にでる予定です。結論から言えば、この判決(ケース)ではこれを経費として認めるようです。先ほどの説明だと当たり馬券にかけた費用のみが経費になるはずですが、最高裁はこのケースで違う判断をします。(このケースでは)当事者の一日の馬券購入費が一千万円以上にも上り、資産運用(投資)と呼べるほど大量に馬券を購入していたという特殊な場合だったのです。娯楽の範囲内で馬券を買っている競馬ファンの場合とは自ずと所得の性質が異なるので違った結論になったようです(ちなみに一、二審でこのケースの払戻金は一時所得ではなく雑所得と判断されています。)。

ページトップに戻る

エースがじゃんけん

2015年01月29日

最近見聞した話題の中で面白かったものをひとつ紹介します。

それは埼玉県のある地域限定で開催された高校野球大会でのことです。

その大会のうち、一試合が接戦となり9回では決着がつきませんでした(2対2)。甲子園大会のような大きな大会ですと延長戦を15回まで行いそれでも決着がつかない場合には再試合となります。ところが、この大会では特別ルールを採用していたようで延長は10回の表裏だけ(つまり延長は1イニングだけ)行うこととしていたようです。この試合はそれでも決着がつかず、その後決着をつけるためにこれまた特別ルールにより9人対9人でじゃんけんを行ったそうです。8人終わったところで4対4となり、最後の9人目は両チームのエース同士がじゃんけんをしました。そして、そのエース同士のじゃんけんでようやく勝敗が決まったようです。

エースが渾身のじゃんけん、何をだしたかまでは分かりませんが、なんだかちょっと笑えました。(笑)

ページトップに戻る